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Rainy Valentine

去年と今年では、先輩への気持ちが違う。
真面目で芯が強くて、
走っても、
走っても、
私が追いつけないくらい熱心に活動している鎧塚先輩。
そんな先輩が私を信頼して、一緒に大会に連れていってくれること。


それがすごく嬉しくて。


この1年、先輩のパートナーとして大会に出るための準備や練習、整備のやり方も勉強して…。
部活とも先輩ともたくさん関わってきた。


先輩の期待に応えたい。
何より私も車が好きだ。


先輩みたいになりたい。
先輩の隣にいたい。

ーー先輩と釣り合いたい。

尊敬から、いつの間にか憧れの異性へと気持ちが変わっていた。

鎧塚「…そうか」

紙袋をしばらく見つめて、 先輩が小さく呟いた。


外は雨のはずなのに、会話の間がとても長く無音に感じる。
先輩は今どんな表情をしているのか。
私は先輩の顔を見るのが怖くて、俯いたままだ。


ーー先輩はもてるけど、浮いた話は聞いたことがない。
毎日一緒にいたけど、本人に直接聞けるほどプライベートには踏み込めなくて…
先輩との関係を壊したくない。


だけど、先輩の隣に並びたいのに、ずっと後輩として後ろからついていく存在のままでいいの?
そんなことを考えるうちにも、先輩への想いは、日に日に膨らんでしまった。
ふられたっていい。 気持ちを伝えられたら。
感謝を伝えられたら。 そう思っていたのに。


『ほんめい、なんです』 いざ先輩を前にすると、こんなに震えた声を出してしまうなんて。