Rainy Valentine
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鎧塚「…○○、顔をあげろ」
私「…っす、すみません…」
私が慌てて顔をあげると、 そこにはいつもと変わらない彼の笑顔があった。
頼もしくも優しい、大好きな笑顔。
鎧塚「ありがたく受け取るよ」
私「! あの…迷惑じゃ…」
鎧塚「何言ってんだ。迷惑なはずないだろ」
少し照れた様子で、先輩が目を細める。
その表情を見て安堵し、ぐるぐるとした思考もたやすく晴れる。
鎧塚「お前は俺にとって……大切な後輩だ。 大会に、俺の夢に付き合ってくれた。 お前が隣にいないなんて、もうありえないと思っている」
私「先輩…」
鎧塚「この気持ちがなんなのか、ずっと考えていた。
だが、今お前の言葉を聞いて、俺の中でも答えが出たよ」
鎧塚「…本命って…そういう意味で良いんだよな?」
先輩に真剣な眼差しで見つめられる。
私「……はい。」
答えを聞くと、大きな手が私に触れ…
そのまま優しく、袋を受け取ってくれた。
鎧塚「ありがとう」
私「…私も、とても嬉しいです…」
先輩が私をそんな風に思ってくれていたなんて。
嬉しくて思わず涙ぐむ。
私「今日渡せて…先輩に受け取ってもらえてよかった…」
先輩が、ポン と私の頭に手を置き、そのまま優しく撫でた。
鎧塚「…チョコをもらおうが、もらうまいがーー
お前が俺にとって大事な存在だってことには変わりない」
鎧塚「だが…やっぱり嬉しいもんだな。 お前からもらえるものは、何でも特別だ」
鎧塚「大事に食う。ありがとな」
に、と先輩が笑う。
私も自然と笑顔がこぼれた。
鎧塚「……帰るか。 もう暗いから送っていく」
私「…はい!ありがとうございます」